奈良先端科学技術大学院大学

音楽演奏ゲーミフィケーションを用いた手指運動訓練システムの開発

⑥【奈良先端科学技術大学院大学】

情報科学領域

藤本 雄一郎助教

https://imdl.naist.jp/ja/research/

特許 特許出願していない技術

技術概要

ゲーム感覚で手指のリハビリや訓練ができるポータブルデバイスとソフトウェアの開発。

デバイスを指で握り込んだ時に、デバイスに加えられた力を圧力センサが計測し、PC上などで動作する専用ソフトウェアの入力として伝えることができる。

デバイスを活用したソフトウェアの例として、楽曲に合わせて流れてくる音のアイコンを、タイミングよく指定された指で押すことで、音楽演奏を行うことができるソフトを開発。使用する楽曲は、ユーザの好きな楽曲を用いることが可能。従来の単調なリハビリとは違い楽しみながら長期的なリハビリが行える。

また、デバイスの内部にはスプリングが入っているため、一般的な握力を鍛えるトレーニング機器のように指を鍛える機器としても利用可能。

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既存技術・競合技術との比較

従来の手指のリハビリテーションとの比較

●長期的なモチベーション継続
従来のものの多くは単調な作業の繰り返しで、長期的継続が必要なリハビリにおいて、ユーザのモチベーション維持が課題となっていた。当ソフトウェアでは、各ユーザが好きな曲を楽しみながら演奏することで指を鍛えることができ、音楽データから使用楽器パートを変更することもできるため、同じ曲でも何度も繰り返し訓練を楽しむことが可能である。さらに、ソフトウェア側の設定やスプリングの変更により難易度や必要な力を変更するカスタマイズが容易であるため、ユーザの状況に合わせて訓練内容を日々更新することが可能である。

●客観的な訓練への評価
各指の動作データを常に記録し保存することで、客観的な訓練評価データとして蓄積。医療従事者がリハビリの進捗や現在の手指の状況を定量的に把握できる。患者自身も自身の状態や日々の頑張りが目に見える数値やグラフで確認できることにより、モチベーション継続の一助にもなると考えられる。

●通院、専門家の補助の必要性
従来は、基本的に病院などへ行き、専門家の立ち合いのもと行われる必要があったが、頻繁な外出が困難な今の時代においても、当デバイスを使用することで、自宅で、専門家の補助無く容易にリハビリが行える。さらに、従来技術では据え置きの比較的重いデバイスを使用することが多く、取り扱いが容易ではなかった。一方、当デバイスは従来技術・競合技術に対して非常に軽量で持ち運びがしやすく、取り扱いやすい。

加えて、デバイスは単純な部品とソフトで構成されており、安価に大量生産ができる。

新技術の特徴

・ユーザの好みに応じた,楽しみながら行える多様な訓練が提供できることにより,リハビリテーションに対するモチベーション維持が可能

・各指の力を実時間で計測,記録可能であること

・軽量かつ持ち運びしやすく,取り扱いやすいデバイスであること

活用が想定される業種

・ヘルスケア

・医療

・エンターテイメント

想定されるビジネス用途

・指のリハビリテーションシステム

・手の精細な動作を入力として使用するゲーム応用

現在のニーズ

・提案デバイスとソフトウェア(もしくはその一方)の製品化をご検討いただける企業

・その他共同研究先、用途開発先