偏光・位相空間制御装置の組込みによる画像計測の高機能化
④【兵庫県立大学】
工学研究科
吉木 啓介助教
http://www.eng.u-hyogo.ac.jp/outline/faculty/yoshiki/yoshiki/others.html
特許 未公開特許出願に基づいた技術 / 公開特許出願に基づいた技術
技術概要
光の位相・偏光分布を自由に制御する液晶デバイスの
開発、販売、およびそれを実装したイメージング装置の開発。
偏光の位相の「分布」を自由に制御できる透過型液晶デバイス、偏光モード変換器(polarization mode converter: PMC)を開発した。本装置は、光の位相を2π以上、光の偏光に関しては楕円率、楕円方位角、右回り/左回りの別、それぞれを独立で制御することができる。さらに、これら偏光にかかわるパラメーターをビーム断面内に自由に分布させ、空間的な分布をつくることができる。その分布は、百ミリ秒程度で電気的に切り替えをすることができる。その他にも、
- ・複数の波長に対応
- ・低温、高温環境にも対応
- ・高い光強度をもつレーザーにも使用可能
という特徴を持つ。
小型で薄型、かつ低コストであるため、既設の光学装置にも導入ができ、世の中のあらゆる既設の光学装置に取り付けることによって、偏光や位相を用いた機能を付与する事ができる。少量多品種生産にも対応しており、多種多様な光学装置の仕様のバリエーションにも対応できる。
また、 本デバイスは「偏光・位相の分布を制御する」というシンプルな機能ゆえに下記のような様々な使い方ができる可能性がある。
- (例)
- ・光アイソレーターや光散乱検出のための光学ユニットとして機能を利用すると、カメライメージングにおいては反射率が高い物体によるギラツキを防止(防眩霧)
- ・霧などの障害物ごしのイメージング
- ・皮膚などの散乱体の内部イメージング
- ・物体の素材識別
今後、様々な光学機器に対する課題に対して、本デバイスを用いた解決方法を提案することで応用分野の開拓を行っていきたい。
既存技術・競合技術との比較
反射型のLCOS(Liquid crystal on silicon)に対する優位性
- ・LCOSを3台以上使うことで本デバイスと同じ位相・偏光制御機能を実現できるが高額となる。
- ・LCOSは反射型であるのに対し、本デバイスは透過型である。そのため導入する光学機器の光路に挿入するだけでインストール完了できる。
- ・LCOSのサイズは上限、下限があるが、それより小型にも、大型にも対応できる。
- ・高強度光耐性、100Wを超える光強度にも耐える。ただし、画素分割数はLCOSが優位であるが、LCOSの画素数が本当に必要なアプリケーション意外にはオーバースペックと言える。
その他透過型の偏光素子に対する優位性
- ・既存の素子は、生成できる偏光の種類に自由度が殆どない。
新技術の特徴
・小型・低コスト
・電気的な制御が可能
・あらゆる光学機器に導入できる汎用性
活用が想定される業種
ファクトリーオートメーション業界、モビリティ、医療、物流、農業など
・IoTによって高度化される分野に広く適用できる。
(主にFA、モビリティー、医療、物流、農業などの分野)
想定されるビジネス用途
・光イメージングにおける防眩(白飛び防止)
正反射光が強すぎ、カメラ計測を妨げることがあり、これを防止する。
・光による素材検出
素材別の光散乱パターンにより、撮影しているものが何であるかを検出
・障害物越し観察
散乱体の向うにある物体の視認性を上げる。
IoTを前提とした社会では、IoTを高度化するために、センサの能力を上げることも重要になってくる。
本製品を、光センサをはじめ、力センサなどにも使用されている光学検出器に導入することによって、偏光や位相を用いた検出能力をセンサに付与することができ、IoT社会の高度化に寄与することができる。
現在のニーズ
・共同研究先
製造技術:液晶材料を開発・供給する企業との協業も行っており、様々な分野との共同研究を募集している。
アプリケーション開拓:ユーザー企業との共同研究で進めており、光計測、光加工分野において実証実験中の事案が複数ある。
・この技術の導入が検討できる企業との繋がり
本装置は既に製品化され、販売が可能な状態にある。ユーザーの要望に応じてオーダーメイドでの対応をしており、導入前、導入後の技術相談を含めてサポートを行っている。また、代理店等の紹介によって顧客の抱える問題点を本製品によって解決するソリューションを提案なども行っている。