国際大会背景に活況
2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2019年のラグビーワールドカップなど日本で開催される国際的なスポーツの祭典を目前にし、スポーツ界にとどまらず経済界も盛り上がりを見せている。 スポーツ庁と経済産業省が実施している「スポーツ未来開拓会議」が2016年6月にまとめた中間報告によると、スポーツ市場の規模は、2012年の5.5兆円から2020年に10.9兆円、2025年には15.2兆円に急拡大すると予想されている。 なかでも、プロスポーツの観戦者、スポーツイベントや合宿への参加者らの移動に周辺地域の観光を融合させ、地域経済への波及効果を高める「スポーツツーリズム関連市場」への期待は大きい。中間報告は、2012年の1.4兆円から2020年には4.9兆円へ市場規模が最も拡大する分野だとしている。
未開拓の市場
アマチュアスポーツは、プロとは違い選手のサポート体制が整っておらず、甲子園に出場するような強豪校でも、保護者がボランティアで車を運転したり、ユニホームの洗濯をしたりしているのが現状だ。また、児童や学生の部活やスポーツチームの合宿は、練習場や宿舎の手配、練習試合の対戦相手の選定、交渉など運営全般を監督やコーチが担うことが多く、非常に手間がかかることが悩みの種になっている。 そこに目を付けたのが、スポーツチームの合宿や遠征に特化した旅行代理店として2015年に起業したランブリッジ(大阪市北区 余吾由太代表)だ。 余吾氏が注目したのは、日本各地にある立派なグラウンドや体育館。観光地以外の施設は有効活用されていないケースが多いからだ。さらに、施設の周辺には宿泊施設やバス会社、仕出し屋、クリーニング店など合宿に必要なサービスを提供している事業者が既に存在している。 そういった事業者一件一件に協力を仰いで回った。協力者は徐々に増え、これまで連携を考えたことがなかった事業者同士がタッグを組み、地域を巻き込んだスポーツ合宿受け入れパッケージが誕生した。 創業以来3年間で、国内10カ所に海外チームを含め計350チーム、1万人の誘致を成し遂げた。スポーツ合宿を受け入れた広島県のある自治体では、同社の取り組みを一つのきっかけとして新たにスポーツ課を設置。合宿受け入れや、スポーツを通じた地域振興に本腰を入れ始めた。余吾氏はスポーツツーリズム市場の牽引役として注目を浴びている。