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ものレボ 小ロット専用システム実証実験 IoTで工程管理、生産性向上

毎月第2、4金曜日の朝7時から、ベンチャー企業と大企業の事業提携や資金調達を目的とした早朝のプレゼンテーションイベント「Morning Meet Up(モーニングミートアップ)」がOIHで開催されている。 毎回テーマを設けて業界外観の説明とベンチャー企業によるプレゼンが行われており、2013年の開始から延べ300社を超える企業が登壇し、大きなニュースや事業につながる可能性を秘めたさまざまな提携事例も生まれている。今回は2018年4月13日(金)に実施した「ものづくり」で登壇した注目ベンチャーを紹介する。

データ活用に課題

 2017年版ものづくり白書によると、製造業の課題として、人材不足の顕在化と営業利益の低さの2点が挙げられている。  経済産業省が2016年に行った調査では、人材確保について80%が課題と認識しており、約20%がビジネスにも影響していると回答している。課題であると回答した企業のうち、過半数に達する企業が技術者の確保に苦戦している。その打開策として、現在は、定年の延長によるベテラン人材の活用が過半数を占めており、今後の取り組みとしてはロボットによる省力化やITによる効率化に力を入れたいとする企業が40%と最も多い。    一方で、70%近くの企業が生産現場で何らかのデータを収集しているものの、具体的な活用にまでは至っていないケースが多く、収集したデータの活用方法に課題を持っている。  さらにデータを活用している部門は現場サイドが45%で経営者や経営戦略部門での活用は30%以下となっており、白書では、戦略的に数字を活用することが製造業の収益アップにつながる可能性を示唆している。

自動で作業指示書

 製造業の生産ライン構築や現場改善サポートを行うものレボ(京都市中京区、細井雄太代表)は、中小製造業の工程管理と収益改善システムの構築に乗り出している。  中小製造業では、多品種小ロット製品の受注が主流になってきており、一社が抱える案件は年間2000~6万件にも及ぶという。多くの企業がその受注から生産、納品までの工程を手書きのホワイトボードやエクセルで管理していて、人の勘や経験に頼るところも多く、案件ごとの調整や納期管理に課題を抱えている。納期遅れしないように稼働計画に余裕持たせたり、新規客の仕事の割合を下げたりするケースもあるという。  それらの課題解決するために、ものレボが開発した「小ロット生産専用スケジューラ」は、特別な装置は不要で、インターネット経由で必要な機能を利用することができるサービスだ。  決められたフォームに稼働時間や工程、人員を登録するだけで自動的に作業指示書が生成される。納期管理だけではなく、進捗管理や原価管理もでき、管理部門と生産現場の情報共有をシームレスに行うことができる。  本年3月から中小製造業5社での実証実験を行っており、5月からは工場内にIoT機器を設置し、作業者は今まで通り作業するだけで作業実績を自動収集できる仕組みの実証実験を行う予定だ。さらに将来的には工場や工作機械の空き時間に新規発注を受けられるようにするマッチングサービスも付加していく。  ものレボは、「今まで見えづらかった中小製造業の工程を可視化することで各社の収益拡大を目指す」とともに、日本発の新たな生産方式として世界展開もめざしている。


 ものづくり分野ベンチャーのプレゼンでは、その他にも高性能モーターと、それを動かすための電子部品が全て搭載されている「モーターモジュール」を開発するケイガン(京都府相楽郡、徳田貴司代表)、わずか1秒で電池の容量や性能の計測ができる装置を開発したゴイク電池(大阪市淀川区、田畑章代表)、ハイスペックのシニア技術者をアサインして企業の技術課題解決や組織構築をサポートする英知継承(大阪市淀川区、福井秀幸代表)、ものづくり現場の自動化や省力化、人材育成をサポートするブリッジソリューション(大阪市住之江区、坂本俊雄代表)の4社が登壇した。。

文:デロイトトーマツベンチャーサポート 井村仁香
※本文は2018年4月23日付け フジサンケイビジネスアイ「ニュースの卵」に掲載された内容です。記事の無断使用・転載を禁止します。

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