新卒で繊維商品を取り扱う商社に入社した福屋氏。企画・生産・販売を一貫して担当する中で、廃棄量の多さに愕然とする。“いいものが廃棄される問題を何とかしたい”という思いと、“いつか起業したい”というかねてからの夢が重なり、2015年春に創業した。
社会性や市場性が高く評価され、創業1年でOIHアクセラレーションプログラム(OSAP)の1期生に選出。ここから事業を本格的にスケールさせるための日々が始まった。担当メンターとの事業ブラッシュアップや東京のVCとの面談を通して、主要事業ではなく、当時はまだアイデアベースで温めていた『B to Bフリマサイト』を全面に打ち出すことになった。創業1年で事業をピボットすることになったのだが、この読みは当たった。
ある企業にとっては「死蔵在庫」でも、別のある企業にとってはそれが「資源」となる。それを仲介するプラットフォームを創ることが自社ならではの価値と定義した。創業メンバーの1人でもあるデザイナーに、ユーザーが使いやすいWebサイトの構築を一任し、自らは前職の人脈を活かして営業活動に徹した。多くの商談をこなす中で“このプラットフォームは絶対に伸びる!”と事業の成長性に確信を持つようになった。
今あるものに新しいアイデアを掛け合わせて新市場を創り出す、まさにイノベーター。発想のユニークさだけでなく、ユーザーエクスペリエンスを徹底して具現化したことでメディアからも注目されるようになり、資金調達にも成功した。
成功の秘訣を聞くと、想いを口に出すことだと言う。「こんなことがしたい!」と言うと、「じゃあこの人に会ってみたら?」と新しい出会いをつないでくれたり、「この事業計画ではVCの知りたいことに答えていないから、こんな風に工夫した方がいい」とアドバイスがもらえたりする。自分はこうしたいという強い意志が伝わると、周りが必ず助けてくれるのが関西スタートアップ業界の素晴らしいところなのかもしれない。
取材年:2017年