業界No.1の駐車場シェアリング・サービスで大阪から世界へ!
スタートからわずか数年で、大きく成長を遂げたシェアサービスがある。 空いている月極駐車場や個人宅の使っていない駐車場を15分単位で予約できるアプリ「akippa」だ。
今までは駐車場へ直接行かなければ空いているかどうかわからなかったが、akippaのアプリを使えば駐車場の空き状況を確認できるだけでなく、個人宅や月極の空きスペースへも予約ができるのが特徴だ。便利さというレベルを超え、余った資産を共有し合うことがビジネスとなることを多くの人に気づかせたのである。 ユーザー登録を無料とし、駐車料金から手数料を得るビジネスモデルで、会員数は現在約75万人。 「今も毎月増えており、年内に100万到達予定です」と、akippa株式会社代表取締役社長CEOの金谷元気氏は語る。 駐車場登録数も国内最多となる2万ヵ所まで拡大。国内ドライバー約8000万人の1%がakippaの会員というわけだ。
困りごと解決企業として「“なくてはならぬ”」をつくりたい。
akippaは「社員の困りごとの掛け算」から生まれた。
あるとき社員みんなで事業アイデアを考えていたところ、「ある女性社員が外出中の駐車場に困ると書いていたものを見た別の社員が、実家の前の余ったスペースを活用できたら…とつぶやいたんです。これは空いたスペースと駐車したい需要をマッチングするサービスができるのでは?と考えました」。
こうして開発されたakippaは2014年4月スタート。翌年2月には社名をakippa株式会社に改称し、事業の一本化を決断する。
今やシェアリング・エコノミーの代表のようにいわれるakippaだが、開発当時はその言葉を知らなかったと金谷氏は言う。
「2013年の冬にOIHのピッチイベントに出て、gumiの國光さんとエニグモの須田さんから“それってシェアリング・エコノミーだね”と言われて。前身の会社時代、停電に直面したことが原体験となり、自分たちも電気のように人々に必要不可欠なサービスをつくりたいという想いで、ビジョンは「“なくてはならぬ”をつくる」とし、会社を困りごと解決企業だと位置づけてきたんですが、ふたりから絶賛されて心から嬉しかった。初めて自分たちの理念で作り上げてきたものが世間から認められたと感じました。あのOIHのイベントがakippaの起点ですね」
akippaがつくるITを活用したソーシャルグッドな未来とは。
空いてるスペースを通じたマッチングでは、多様な需要が存在する。最近では大型施設やレンタカー会社大手や自動車ディーラーなど、自動車関連施設との連携も増え、テーマパークやサッカー場のオフィシャル駐車場との提携では、事前予約により渋滞緩和へつながっているという。例えば駐車場のないコンビニにおける搬入時のトラックの路駐や、ロードサイド店舗の繁忙時の満車など、公共の交通状況に影響が出るケースも少なくない。akippaは店舗近くの駐車場を斡旋することが可能なため、これらの問題も解決できるのだ。こういった事例により近頃は法人会員も多く獲得している。
今年1月には東京都内のタクシー会社の車庫を貸し出す実証実験も実施するなど、幅広い業界とのつながりを強化。今年5月には導入が難しかったゲート式駐車場も、IoT化で課題をクリアした。
電子錠開発のアートと共同開発した入出管理デバイス「シェアゲート」を取り付けることで、商業施設やホテルなどの無人のゲート式駐車場でも事前予約・スマホ決済が可能となった。
今や多くの人に普及した“スマホ”を活用することで誰もが参加できるCtoCビジネスの起爆剤になると確信していた金谷氏。
そんな肌感覚やユーザー目線を大切にしてきたことで、使う人・提供する人がwin-winとなるサービスを生み出すことができた。
「あきらめない姿勢」で大阪のエコシステムをつくりたい!
起業家には2つの能力「論理的思考」と「あきらめない姿勢」、特に後者は起業家の資質として必須と金谷氏はいう。
実は、J2クラブ練習生としてプロをめざしたという異色の経歴を持っている。
絶対に諦めないというマインドは、サッカーを通じて培われた。
そして、大阪拠点にこだわり続けているのもakippaらしい。
大阪に拠点をおきながら、勢いのある会社でい続けられるのは、Google、DeNA、楽天など錚々たる企業から転職してきた優秀な人材によるものが大きいという。
彼らの多くはUターン転職組で社内は関西出身率も高い。
「東京で活躍する人でも関西へ戻りたいという人は多い。ただ、やりがいのある仕事が関西にはなかなかないのがネック。そんな中、面白い事業で成長をし続けている会社があれば彼らは転職してくるんです。それに、僕たちが大阪を離れないのは、僕たち自身がアウェイよりホームの方が力を発揮できるから。この先メガベンチャーになって、大阪のエコシステムをつくりたい。akippaが大阪にあることに意味があるから、あきらめずに取り組んでいきたいと思っています」。
より良い世の中をめざし、世界一のモビリティプラットフォーマーに。
今後の目標として「2030年に世界最大のモビリティプラットフォーマーになる」ことを掲げる。
「最終的にはカーシェアの車が自動運転車に変わり、akippaで呼べば現地まで迎えに来て目的地で人を降ろし、車だけが駐車場兼充電スポットに行く、そんな世界観を実現したい」
地方では移動の手段がなく、外出できずに困っている高齢者も多い。そういう人が乗れる自動運転の車が登場すれば、akippaがそのプラットフォームになることをめざすというもの。
「困りごと解決企業が世界一になると、世の中がより良くなる。だからそのためにここ大阪から“世界一”をめざしていきます」
akippaが創るワクワクする未来はすぐそこまで来ている。
取材日:2018年7月12日
(取材・文 北川 学)