マーケットを切り拓きニーズに応えるカスタマイズで、
より多くのユーザーへ
独自の技術で香りのデジタル化に成功し、2012年京都で設立した株式会社アロマジョイン。
世界初となる嗅覚ディスプレイ『アロマシューター』は、映像や音響と連動し、豊かな空間演出や情報伝達を可能にする新時代のコミュニケーションツールとして、今、各方面より熱い注目を集めている。
そんなアロマジョインのなかで、マーケティング&戦略マネージャーを務めるケラン・ニコラ氏と、エンジニアとしてソフトウェア開発を手掛けるクアン・ヌエン氏。新たなマーケット開拓に向けてビジネスの最前線を担うお二人に、話を伺った。
――アロマジョインでのあなたの役割と仕事内容は?
ニコラ氏:私の仕事は、市場調査や営業方針の決定、プロモーション手法の検討など、マーケティングと戦略立案に関わるすべての業務です。
なかでも、『アロマシューター』という嗅覚ディスプレイが持つビジネスの可能性をカタチにし、新たなマーケットを構築していくことが目下の最重要課題。
現在は営業活動を中心に、さまざまな業界の企業と商談を重ねているところです。
その可能性のひとつが、デジタルサイネージ分野。当社では“アロマサイネージ”と呼んでいるもので、香りによってショップへ誘導したり、香水テスターなどを活用して商品PRを行うもの。
そのほかVRゲームやテーマパークなどのエンターテイメントや自動運転技術が進む自動車、心身のリラクゼーションを促すアロマセラピーなど、多種多様な分野での可能性が広がっていますね。
実際、2020年6月には凸版印刷株式会社とのコラボレーションによる映像・音・香り・照明をコントロールする空間演出ソリューション「Your Space™(ユアスペース)」の販売をスタート。三井不動産株式会社が運営するオフィススペースに採用され、各方面から大きな反響をいただいています。
クアン氏:そして、さまざまな用途拡大に伴い、ユーザーの使用環境や細やかなニーズを合わせたカスタマイズを行うのが、私たち開発チームの仕事です。
当社ではハードウェア開発とソフトウェア開発に分かれており、私はソフトウェアテクニカルリーダーとして『アロマシューター』に内蔵するプログラムのほか、装置を起動させるための制御プログラムの設計・開発を担当しています。
多種多様な分野で用途が広がりつつある今、主な業務となっているのが、オーダーメイドの動作やUI(ユーザーインターフェース)デザインなど、ユーザー毎の通信環境やニーズに合わせたカスタマイズです。
『アロマシューター』は世界初の画期的な技術ですので、すべてがゼロから創り出すものばかり。毎日が挑戦の連続で、刺激に満ちた日々を送っています。
どこにもない唯一無二の技術――それが、アロマジョインの最大の魅力
――アロマジョインでのあなたの役割と仕事内容は?
クアン氏:私は子どもの頃からものづくりが大好きで、ベトナム・ハノイの大学ではエンジニアリングを専攻。在学中から自作のモバイルアプリを開発するなど、ゼロから新しいものを創り出す仕事に興味を持っていて、その時から働くなら海外がいいと決めていました。
今はインターネットで世界と繋がれる時代ですから、最新の知識や技術はどこにいても学べます。でも、実際にいろんな人と出会い、いろんな体験をするためには、やはり海外に飛び出していくべきだと考えたからです。
シンガポールやマレーシアを中心に会社を探すなかで、スタッフ募集を行っていたアロマジョインのWEBページを発見。それが、最初の出会いでした。
ニコラ氏:私はずっと自分の将来を模索していて、フランス・パリの大学では国際ビジネスについて学んでいました。
せっかく学んだ知識ですからぜひ海外で活用してみたいと思い、どうせならこれまでとはまったく違う環境に身を置いてみようと、アラブ諸国やロシア、アジアの国を検討。たまたま鹿児島でフランス語学校の講師をしていた友人の誘いを受け、日本での生活をスタートしました。
数ヶ月講師の仕事をした後、東京の外資系通信機器販売会社で接客業と調達業務を経験。そのなかで徐々に興味を持つようになったのがマーケティングの仕事です。
一度フランスに帰国後、妻の実家のある関西で暮らすことになったのを機に、マーケティング業務を希望条件に転職活動を開始。そのなかで縁あって出会ったのが、アロマジョインです。
――入社を決めた理由と、仕事のやりがいは?
クアン氏:最初に感じたのは、「香りの出る装置」という今までになかった独自技術の面白さですね。「こんなデバイスやアプリケーションがあるなんて!」と驚きましたし、まったく新しいものをゼロからつくりあげていく仕事に、興味と関心を持ちました。
そして、この会社なら子どもの頃から大好きだったものづくりに携われると感じて、入社を決めました。
ニコラ氏:私もそうです。誰もやったことがない新しい技術にまず惹かれ、だからこそ世界のどこにもマーケットはなく、それを自分の手で開拓していく仕事に大きなやりがいがあると感じました。
就活ではマーケティング業務が希望条件でしたが、これまで実務経験はなく、勉強できる環境が必要でした。その点、アロマジョインはまだまだ若いスタートアップですし、いろんなことにチャレンジできることも大きな魅力でしたね。
クアン氏:実際、毎日がチャレンジの連続ですよね。どんどん新しい課題やテーマが出てきて、本当に忙しい(笑)。それだけ、一人ひとりが任されている範囲が大きいということですけど。
ニコラ氏:そうですね。私の本来の業務はマーケティングと戦略ですが、当社は組織においてもまだまだ未完成で、整備しなければいけないことが盛りだくさんです。
総務や財務など、エンジニアリング以外のすべての業務をカバーしている状態で、勉強しながら1つずつ前進しています。大変だけど自分たちの手で会社をつくり動かしているんだという、確かな手応えもありますね。
柔らかでフレキシブルなマインドを育み、新しい自分と出会える場所
――スタートアップで働くことで、自分自身にどんな“変化”が?
ニコラ氏:最も大きく変わった点は、自分自身の「エゴ」を捨てたこと。意味合い的には「プライド」と言った方が近いでしょうか。
これまで私は、自分の行動に常にプライドを持っていました。
しかし、これまでにない新たな経験や挑戦を行う上では、そうしたプライドは邪魔になることもあります。
何が正解か分からない未知の世界だからこそ、マインドを柔らかくしていろんな価値観ややり方を受け入れることが不可欠だと考えたからです。
特に当社は、いろんな国籍のスタッフが集まり、言語や文化、価値観など、多様な個性が活躍しています。そのなかで、下手なプライドや既存の価値観は衝突のもと。お互いに話し合って、時にはミスをして、1つひとつ改善しながら進んでいけるようになりましたね。
クアン氏:私の場合、自分自身が変わったと感じるものはないのですが、スタートアップならではの<変化>のスピードを日々実感しています。
大きな組織では、関係部署との調整のため新たなアイデアが動き出すまでに時間が掛かることがありますが、当社は1つひとつが素早く決断されます。
より良いアイデアがあればすぐに取り入れるため、自分自身のスキルもどんどん更新されていくイメージ。
そうした環境に身を置くことで、私自身もっと柔軟に、もっとフレキシブルに物事を捉えられるようになっていきたいと思っています。
技術やアイデアを世界中の人々へ。未来への想いがあるから毎日楽しい
――これからの夢や目標は?
クアン氏:現在私たちは、日々新たな課題やテーマに取り組み、新たなモノやサービスを世に送り出しています。
製品がより多くの人のもとに届き、世界の誰もが『アロマシューター』を手にすることが、エンジニアとしての大きな目標です。そしてそれは同時に、我が社がめざすビジョンでもあります。
ニコラ氏:マーケティング&戦略マネージャーとしても、同じ想い。もっともっと、多くの可能性を拡げ、『アロマシューター』をたくさんの人に使って欲しいと思っています。
また、そうした大きな目標とは別に、私にはひとつの想いがあります。それは、オープンソースというか、アイデアというリソースを全世界でシェアできる“場”をつくること。
たとえば、大学生や若い人がいろんなアイデアを持っているのにも関わらず、資金面やノウハウ不足でせっかくのアイデアがつぶれてしまうのはよく聞く話。その一方で、豊富な資金・ノウハウを持つ大手組織がアイデアを欲しがっている。
この両者をリンクさせていけば、世の中に、より多くの魅力的なモノやサービスが生まれるかも知れない。そんな新しい夢を描いていけるのも、スタートアップの面白さと言えるでしょうね。
時には笑いを交えながら、ざっくばらんに想いを語ってくれたニコラ氏とクアン氏。生まれも個性もまったく異なるふたつの個性の出会いが、アロマジョインの未来に、確かにつながっている。
スタートアップへのイメージ
<Before>
- ●大きな組織よりも自由と小回りが効く
- ●スタートアップはどの会社も雰囲気が似通っている
- ●堅苦しいルールはなく、みんなで和気藹々
<After>
- ●自由と裁量権がある代わりに一人ひとりが責任を担う
- ●会社も人も「個性」「特徴」はバラエティーに富んでいる
- ●めざす未来や方向性によって職場環境も千差万別
自社のイイトコロ
ニコラ氏
意欲と情熱があれば誰もが活躍を目指せる、可能性とチャンスに満ちあふれた場所。知識や経験がなくても、自分から学んだり努力していける自立心のある人なら、どんどん成長できるはず。いろんな個性を受け入れる、懐の大きな職場ですね。
クアン氏
大手組織にはない、自由さとスピーディさがスタートアップである当社の魅力。その分、責任も大きいけれど、自ら率先して動いていけるやりがいのある仕事を求める人には、理想的な環境が広がっています。
スタートアップで働こうと考えている人へ
ニコラ氏
いろんなことに挑戦し失敗から学んだりできるのは、若い世代の特権です。人は年齢を重ねるごとに、段々と動けなくなるもの。だからこそ、若い人には、ぜひスタートアップにチャレンジして、自分自身の世界を大きく拡げて欲しいです。
クアン氏
自分のやりたいことをしっかりと見据えて、それを実現できる場所を選んでください。スタートアップに不安を感じるかも知れませんが、それ以上の可能性や魅力を秘めています。思い切って飛び込めば、新しい自分に出会えますよ。