革新的分離技術で世界を変える
「数多(あまた)の細胞の中から、欲しい細胞だけを無傷で取り出す」途方もない夢を実現させるために私たちは集結しました。それがAFIテクノロジーの始まりです。
はるか昔から、物質の分離抽出にはろ過(フィルタリング)技術が用いられてきました。当然、現代における最先端分野のエンジニアリング・サイエンスでも必要な基礎技術です。AFIテクノロジーの根幹技術である”AMATAR™”は、フィルタ技術の集大成と言えます。
私たち一人一人の力はか弱いですが、それぞれが持っているアイデア・知識・経験を組み合わせ、試行錯誤を繰り返すことによって、朧げな夢は”AMATAR™”という形で具現化に至りました。 再生医療、臨床検査における希少細胞の解析・分離だけでなく、食品飲料微生物に関する迅速検査など、AMATAR™の応用範囲は多岐にわたります。
―私たちが持っている革新的フィルタ技術を用いて、ライフサイエンスの発展に貢献する―これがAFIテクノロジーの掲げるミッションです。
近年、食品衛生法が改正され、2020年6月からすべての食品等事業者に対して、国際的な衛生管理手法であるHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)に沿った衛生管理の実施が制度化されることになりました。
こうした状況の中で、弊社が開発した微生物汚染リスクモニタリングシステム『ELESTA® PixeeMo®(エレスタ ピクシーモ)』が注目を集めています。
これまで代表的な微生物検査手法として「培養法」が100年間にわたって標準的な技術として採用されてきました。ただし、培養法は専門的な技術が必要であり、検査結果が分かるまでには数日かかるという課題もありました。
製造工程中の微生物による汚染リスクの確認や、製品出荷の合否判定を、その日のうちに検査できるようにするため、様々な原理の非培養迅速検査装置がすでに開発されていますが、いずれも検査サンプル由来の成分や油分がノイズとなって、十分な精度で検査することは困難でした。
ですが、『AMATAR™』の原理を活用した『ELESTA PixeeMo®』は、それらの課題を解決し、専門的な技術を必要とせず、最短5分で高精度の検査結果を出すことができるようになりました。食品製造の各工程中でリアルタイムに微生物数のモニタリングができ、 HACCPプランを検証するのに最適です。」
製品の特長を語ってくれたのは、同社で品質保証部とELESTA事業部で企画戦略を兼任する宮川佳奈氏。
会社設立間もない頃に創業メンバーとして参加し、社長や他のメンバーと共にまさに0から製品開発や会社運営にも取り組んできた。同社の今をカタチづくるキーパーソンである。
参加当時は、会社が設立されたばかり、製品開発もこれからという時。そんな未知の世界に飛び込んだ宮川氏は、これまでどのような経験をし、その中で何を得てきたのか?スタートアップ企業で働く魅力などについても語ってもらった。
スタートアップ企業の創業メンバーとして、密度の濃い時間を過ごす
宮川氏がAFIテクノロジーと出会ったのは、大学生の時。学んでいたのは日本文学で、漠然とではあったが将来は国語の教師をめざしていた。
だが一方で「その職業を本当にやりたいの?」と問われると、憧れはあったが、それ程本気度は高くなかったという。
そんな中で知り合いから声をかけてもらい異業種交流会に参加。会場で当時起業したばかりの同社のメンバーと出会い、アルバイトをはじめることになった。
「ずっと文系でしたから理系分野のことは全く分からないし、そもそもスタートアップ企業って何?という状態でした。
でも、まだ世の中にない新しいものを創り出そうとしていることや、今まで関わったことがない未知の世界に魅力を感じて、まずはやってみようかなと思いました。最初はアルバイトだったので、あまり深く考えていませんでした(笑)」
実は、その後しばらくして宮川氏は大学を辞めるという大胆な行動に出る。
「就職活動のために大学に毎日通って学んでいることはあまり意味が無い。
社会に出て学ぶことの方が多くあり、価値がある。ならば社会に早く出た方が良いと思って。
何よりも、会社の人も雰囲気もとても良く、みんなが目標に向かって頑張っているアツイ姿が好きでした。」
そうして同社の正社員となり、本格的に仕事と向き合いはじめる。
当時の同社は、社員数が5〜7名規模で、製品開発をはじめ、事業や組織、会社の制度などすべてをこれから考え、創っていこうという状態。
社会人経験もなく、専門分野の知識もなかった宮川氏にとっては、何もかもが未知の世界だった。そんな中で最初は、白衣を着て分析や実験のサポートを行ったり、書類作成に関わったり、時には夜遅くまでがんばっているみんなのために食事をつくったりと積極的に取り組んだ。