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イベントレポート

【2021年1月25日開催】海外アクセラが集結!大阪・関西スタートアップ/ピッチ・メンタリングイベント

開催概要

大阪、関西を拠点にこれからの飛躍が期待されるスタートアップを選出し、海外アクセラレータによるメンタリングを公開で行う「大阪・関西スタートアップ/ピッチ・メンタリングイベント」が1月25日にオンラインで開催されました。

本イベントは、大阪府と関西経済連合会ABCプラットフォームの主催により、大阪スタートアップ・エコシステムコンソーシアム、大阪イノベーションハブが共催し、京都府、京都市、兵庫県、神戸市、近畿経済産業局、京都知恵産業創造の森の協力で開催されたものです。

大阪スタートアップ・エコシステムコンソーシアム」(以下、大阪コンソーシアム)は、企業、行政、経済団体、大学、支援団体等が連携し、グローバルに展開するスタートアップが連続的に輩出される環境の構築を目的に設立された組織です。現在44組織が参加し、公益財団法人大阪産業局が事務局を務めています。

また、京都、ひょうご・神戸で展開する各コンソーシアムとの連名により、内閣府が進める「グローバル拠点都市」に選定され、ライフサイエンス分野をはじめとする関西の強みを活かし、国の支援も得ながら京阪神が連携して力強いシナジー効果を発揮することをめざしています。

本イベントも各拠点の支援を受けて運営されており、ピッチおよびメンタリングの内容を公開することで、各社の事業内容や共通課題を知る機会を提供しています。ピッチ終了後には、登壇社以外のスタートアップから寄せられた質問にメンターが回答するQ&Aセッションも設けられました。

イベント開催のあいさつで、大阪府商工労働部中小企業支援室室長の室井 俊一氏は、「大阪は2025年の大阪・関西万博開催やうめきたエリアの開発などビッグプロジェクトが目白押しで、新型コロナウイルスの感染拡大による社会システムの変革など、新しいイノベーションの創出が求められている」と話します。

その担い手であるスタートアップの活躍が求められており、成長課題である、資金調達、経営人材の確保、グローバル資材の開拓などで、幅広い支援を用意していることを紹介。また、今回のイベントについて、「世界有数の海外アクセラレーションからのメンタリングによりさらなる成長につなげ、多くのスタートアップもぜひ参考にしてほしい」と述べました。

プログラムは、各社の持ち時間15分内で、約7分間のピッチ後に3名のメンターが質問やコメントをするという流れでテンポよく進められました。

メンターは、Plug&Play Japan Ventures Associate小林 俊平氏、500 Startups /Japan Country Lead, Innovation & Partnerships大出 歩美氏、Rainmaking Innovation Japan/ Startupbootcamp Scale Osaka Director Business Development吉田 匡氏が担当しています。

100%生分解性のバイオプラスチックの開発で環境を守る

最初に登壇したAC Biode株式会社は化学技術をベースにしており、世界初の独立型交流電池、プラスチックごみを化学分解する触媒などを開発し、一部発売も進めています。中でも独自開発する100%生分解性のバイオプラスチックは、これまで同様の製品で問題とされていた、食べものとの競合、石油由来の成分が混ぜられている、加工しにくいといった問題を解決。数週間で分解できる上に加工しやすく、バリエーションもあります。
吉田氏からは「環境対策は世界的にも注目を集めており関心も高いが、一般のプラゴミとして処理されてしまうので循環モデルまで提供した方がいいのではないか」という質問があり、代表取締役社長 の久保 直嗣 氏は、「現時点で生分解プラにはそこまでのニーズは無く、海に流されても大丈夫であることを商品価値として、ブランディングとして利用してもらう方向を考えている」と回答。現在はサンプルツールのみだが、化粧品や美容関係などの大手ブランドから引き合いがあり、チップ、ボトル、フォーク、コップなどに関心が持たれていると言います。

また、共同創業者のCTOが大企業で新規材料の開発をしていた経験から、既存設備を利用して加工できるよう工夫しているとのこと。プラスチック成型でも支援関係があり、値段は高くなるがイニシャルコストが下げられる点で他の会社にはない強みがあります。

日本唯一の中小ホテル向け統合型ホテルシステムを開発

株式会社AZOOは、コロナ禍でさらなる運営効率が求められる中小ホテルに向けて、膨大な業務を効率化するホテルシステム「WASIMIL(ワシミル)」を開発、販売しています。既存のホテルシステムはそれぞれ機能が個別にあり、複雑で連携もしにくいのに対し、宿泊管理等の自動化など様々な機能が一元化されており、サブスクリプション型の価格設定でコスト削減ができるのが特徴です。
最も大きな特徴としてデータを用いた顧客分析が可能で、それらを元にキャンペーンの実施や効果を測定するマーケティング・オートメーション機能も搭載されています。

妊娠にまつわる女性の健康をトータルにサポートするサービスをAIで開発

Flora株式会社は独自のAI(人工知能)アルゴリズムで、妊活・出産・育児に対する新しいソリューションを生み出し、現在は妊娠、産後のヘルスケアサポートをメインとしたアプリなどを開発。日本では3人に1人が35歳以上で出産し、肉体だけでなく精神的な負担も大きいことから、妊娠中の女性をサポートするポケット助産婦「フローラ妊娠アプリ」を開発しています。スマホで健康情報を収集、可視化し、独自に開発したAIで食生活を支援するシステムを用いた栄養サポート、チャットボットによるメンタルサポートを行う機能が搭載されています。
個人にあわせたサポートやコンテンツを提供することが可能で、妊活から育児、仕事の復帰まで対応可能です。昨年12月にリリースしたベータ版は広告無しのB2Bモデルで300人に1ヶ月利用され、好評を得ました。また、シンガポールのアクセラレーションにも参加する予定であり、ピッチではロードマップや売り上げ予想なども発表されました。
代表取締役のクレシェンコ アンナ 氏は、女性や乳幼児の健康をサポートするフェムテック/ベビーテック市場は世界的に注目を集め、その規模は5年後5倍に成長すると見込まれていることを紹介。日本の自治体もフェムテックを支援しているが欧米に対してまだ不足しており、それが日本市場をターゲットにしている理由だと述べました。

展示会を中継する人をマッチングするプラットフォーム・サービスで特許も取得

株式会社toraruは、コロナ禍でますます遠ざかる旅の機会や行きたい場所に「行けない」ことを解決する複数のソリューションを開発しています。「genchi」は、現地にいる人と現地に行きたくても行けない人を繋ぐクラウドソーシング型のサービスで、今回は展示会での対応にターゲットを当てて紹介がありました。
現地にいる人にスマホで会場を中継してもらうという人間版Uberのような仕組みで、マッチングから決済、評価までトータルに行うボディシェアリング・プラットフォーム・サービスで特許も取得しています。
代表取締役の西口 潤 氏は「現地を回る人の募集は3〜4ヶ月で数百人が集まり、利用する側のニーズもある」と言い、将来はリモートコントロールできるロボットやVR ドローンなども使い、触覚、嗅覚、味覚の提供もめざしています。メンターからはアイデアのユニークさやわかりやすいサービスであることが評価されました。小林氏からは「現場の臨場感をどれだけ伝えられるのか」という質問があり、「臨場感を伝えるには視覚が重要だが、それについてもノウハウがある」と回答。また、スキルを持つ人を指定するといった仕組みも今後検討していくそうです。

国内外の学校をオンラインで結んだアクティブラーニングを運営

国内と海外の学校をオンラインでつなぎ、社会課題について議論するアクティブラーニング授業を展開する株式会社With The Worldは、2018年に起業してからすでに世界54か国330校と連携し、2020年だけでのべ1000人に実施しています。海外校の選定からプログラムの作成、オンラインでの実施サポート、成績評価までトータルに行い、リピートにもつなげています。
「教育を世界の果てまで届けたい」と言う代表取締役の五十嵐 駿太 氏は、プログラムの参加は自分の地域について自発的に調べるきっかけになり、感動体験により英会話にも自信を持てるといった効果があるとしています。ホームステイも実施し、生徒の満足度は93%にものぼるそうです。
学校以外にも広げられる可能性があるのではないかという小林氏からの質問に、五十嵐氏は「すでにいくつか案件があり、新人やリーダー研修などでニーズがある」と回答。他にも、対象となる学校がどれだけ広げられるか、料金設定やプロジェクトの頻度をどう設定するかなど、多数質問が寄せられました。

3つのテーマに関する質問へ具体的なアドバイスやサポートを紹介

ピッチ後のQ&Aセッションは3つのテーマで進行されました。

1つ目の「資金調達」では、シードでの投資判断基準について小林氏が、「一概には言えないがPlug&Playで見ているのは、市場規模、人とチーム、プロダクトの3つ。例えば起業家と投資家のつきあいは長くなるので、正直なところ、相性はあるのではないか」と回答しました

具体的な調達の方法について、大出氏は「どこから調達したいかターゲットを明確にすること」だと話し、情報収集ではLinkedinや投資家を検索できる有料サービスなどが利用できることを紹介しました。さらに、「カンファレンスやアクセラレータプログラム、デモデイの参加も効果はあるが、日本のスタートアップは資料に文字が多すぎて読まれないので気をつけた方がいい」といったアドバイスもありました。

2つ目の「海外展開」では吉田氏が、「一般的な話だが頼れるものには頼ること」だと話し、ジェトロや自治体、金融機関の海外支店でもサポート体制があり、大使館にアプローチするのも一つの手であることが紹介されました。できれば現地の言葉が話せたり、地域コミュニティを知るために現地へ行く方がよく、出版されているガイドブックは古い場合もあるので気をつけた方がいいともアドバイスされました。

大出氏は「日本の商習慣をそのまま海外に持っていくと失敗するので、ローカルにあわせる柔軟性が大事だ」とコメント。小林氏も「海外とビジネスする場合は意思決定プロセスが重要だ」と述べました。

3つ目の「アクセラレーションプログラム」では、参加するメリットなどに対する質問が寄せられました。大出氏は500 Startups では、定期的に地域のニーズにあわせてフレキシブルに開催され、大手とのマッチングや東南アジア進出を支援したり、神戸市では教育を目的にしたプログラムを実施していることを紹介。Plug&Playでは大企業連携をメインに年に数回イベントを開催し、調達機会と売り上げの機会を提供するプログラムでは、一度に付き100社程度(国内外で半々)を採択していることを紹介しました。吉田氏は、VC(ベンチャーキャピタル)ごとに特徴があり、Rainmakingはヨーロッパ拠点のネットワークに強く、サービスとやりたいことが明確なスタートアップが向いていると話しました。

最後に、主催の関西経済連合会国際部担当部長の森下 剛志氏からのあいさつでは、ABCプラットフォームとその活動について紹介がありました。アジアと日本の間でビジネスの創出と拡大を支援するため2019年に立ち上げられ、様々な取り組みの一つとしてスタートアップ部会を昨年1月設立しており、「企業情報や商材も紹介しているので活用してほしい」というコメントで、イベントが締め括られました。

イベント概要

海外アクセラが集結!大阪・関西スタートアップ/ピッチ・メンタリングイベント

開催日時 2021年1月25日(月) 14:00~16:10

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