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イベントレポート

【2024年1月28日開催】12社のスタートアップが磨き抜かれた事業を発表「SIOアクセラレーション」成果発表会を開催しました!

開催概要

起業準備中を含むシード期のスタートアップを対象に専門的な支援を提供し、事業成長の加速をめざすプログラム、SIO(スタートアップ・イニシャルプログラムOSAKA)。2024年1月28日、5か月にわたる支援プログラムを経て事業内容に磨きをかけてきた12名の起業家による成果発表会であるデモデイが開催されました。

【基調講演】

まずはじめに「『2から200 スケールアップの舞台裏』~社員2名から200名規模へのスケールアップで見えたこと~」と題して基調講演が行われました。登壇したのは「宇宙×気候変動×生物多様性」をテーマに2022年に株式会社Midtownを設立した中村貴裕氏。Midtown設立前は宇宙ベンチャーである株式会社ispaceの設立に関わり、2名のボランティアから始まった同社を200名規模へ成長させ、IPOを実現するまでの道のりを紹介し、今後グロースをめざす起業家へアドバイスとエールを贈りました。

SIOアクセラレーション
SIOアクセラレーション

講演の締めくくりとして「資金調達のKSF」と「組織のKSF」という2つのKSF(Key Success Factor)を紹介し、資金調達においては、シード期からレイター期まで伴走してくれるVCの存在や、大企業や行政機関の決裁権者に対するトップアプローチなどの重要性を説明。組織面については、ビジョンやカルチャーを浸透させることや、リーダーシップチームが結束することの必要性を強調しました。

【コメンテーター紹介】

次に12名のピッチに対する質疑応答および講評を行うコメンテーターとして、以下3名が紹介されました。

SIOアクセラレーション
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井上智子氏(オムロンベンチャーズ株式会社 代表取締役社長)、伊藤仁成氏(株式会社MTG Ventures 代表パートナー)、中村貴裕氏(株式会社Midtown 代表取締役CEO)

【12名による事業ピッチ】

verbal and dialogue株式会社 
森川善基氏
AI工事写真アプリ「Cheez」工事写真業務の時間・コストを87%削減

トップバッターを務めたのは、長らく建設業界を悩ませてきた「工事写真」の作業をDXで解決するverbal and dialogue株式会社の森川氏。事前準備不要で、写真を撮影するだけで自動的に工事写真台帳を作成するアプリ「Cheez」を発表しました。

SIOアクセラレーション
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人材不足が顕著な建設業界の救世主となる可能性を秘めたプロダクトに対し、コメンテーターの伊藤氏は「特許などの知的財産が差別化ポイントになり得る」とアドバイス。中村氏は「工数削減の結果、さらにバリューアップにつながるサービスがあれば、業界全体がもっと発展する」と新たな事業展開への期待を寄せました。

株式会社ポチっとつながるPOTZ 
佐藤晃子氏
高齢ひとり暮らしの孤独や日常の困りごとを主婦が解決するPOTZ

続いての登壇者は、高齢者の生活支援に関する課題に挑む、株式会社ポチっとつながるPOTZの佐藤氏。高齢化によって介護離職や孤独が問題となる中、困りごとを抱えた高齢者を近所の主婦がギグワーカーとしてサポートできるプラットフォームを開発し、原体験となった自身の介護経験も交えた熱いピッチとなりました。

SIOアクセラレーション
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コメンテーターの井上氏からは「明らかにニーズのあるサービスなので、よりスケーラブルなビジネスにするための制度設計を」とエールが贈られ、中村氏からも「佐藤さん自身の『思い』があってすばらしい。地域包括支援センターなど公的機関との連携も視野に入れてみては」と背中を押すコメントが贈られました。

MatchHat 梅若ソラヤ氏
※当日はチームメンバーの長町 康誠氏が登壇
クリエイターがコラボレーション相手を探すためのプラットフォーム

続いては動画制作をはじめ、さまざまなプロジェクトを動かすためのクリエイターとのマッチングプラットフォームを提供するMatchHat。過去に映画制作でコラボ相手を探すのに苦労した経験から、主催者がプロジェクトを投稿したり、それに興味を持ったクリエイターが応募したりできる仕組みを構築しています。AIによるコンテ作成やクラウドファンディングなども取り入れ、世界規模でクリエイティブ産業の活性化をめざしています。

SIOアクセラレーション

コメンテーターの中村氏からは「クリエイターの質と量がスケールの鍵になると思うので、それを上げていく施策を」とアドバイスが贈られ、井上氏からは「コンテンツ産業以外にもニーズがありそうなので、広く市場を見てほしい」と激励の言葉が贈られました。

株式会社ぐるかい 王 龑氏
コンシューマー向けの商品・サービスのプロモーションをサポートするアプリ

次に登壇したのは、一般ユーザーがインフルエンサーとして企業のPRに貢献できる仕組みを提供する株式会社ぐるかいの王氏。企業は知ってもらいたい商品を「ぐるかい」に掲載し、ユーザーはその中で気になった商品を自身のSNSで拡散。一定の「いいね」を集めると商品が提供されるというモデルです。ユーザーのリアルな声をマーケティングに生かすことで、PRに予算をかけられないスタートアップなどのプロモーション課題を解決します。

SIOアクセラレーション
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コメンテーターの伊藤氏は「良い商品を生み出しても、売るのに苦労している企業は多いので合理的なサービス」と評価しました。中村氏からも「スタートアップにとって低コストでマーケティングできる仕組みがあるのは助かる」と背中を押すコメントが寄せられました。

株式会社cizucu 太田優成氏
あなただけの1枚を生み出すコミュニティ・ストックフォトプラットフォーム

続いては、クリエイターに新たな活躍の場を生むストックフォトサービスを展開する株式会社cizucuの太田氏。従来の同種サービスと異なり、ユーザーはキーワードではなくチャット形式で写真を検索し、あえて少数の候補しか表示しないことで、ユーザーが迷うのを防ぐというサービスです。

SIOアクセラレーション
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コメンテーターの井上氏は「クリエイターの人生を変える、というコンセプトにグッときた」と賛辞を贈り、中村氏は「同種サイトの検索性は大きな課題だと感じているので、良いサービスになると思う」と好感を示しました。

株式会社KNiT 窪内将隆氏
研究者/技術者のルーティンワークをAIで時短します!

続いての登壇者は、微細な「粒子」と向き合う研究者をAIで救う株式会社KNiTの窪内氏。研究現場では、顕微鏡に映し出される粒子の数とサイズを手作業で計測するというアナログな作業が発生します。同社は粒子の画像から自動的にサイズ、形、色を数値化し、研究者の労力を大幅に削減するAIを開発し、研究機関のほか、製造業に向けてサービス拡大を狙っています。

SIOアクセラレーション
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コメンテーターの中村氏からは「私も学生時代に隕石の研究で粒子を定規で測っていたので、現場の課題にマッチしたサービスだと思う」と賛辞を贈り、ヘルスケアが専門分野の井上氏からも「細胞を目視でひたすら数えるなど、研究現場には意外とアナログな作業が多いので、その解決に期待したい」とエールを贈りました。

ラボっこねくと株式会社 尾崎皐氏
若手研究者や大学院生とつながるマッチングサービス

次に登壇したのは、研究者と専門人材とのマッチングサービスを手がけるラボっこねくと株式会社の尾崎氏。日本に80万人ほどいる研究者が本業の研究に費やしている時間は少なく、多くの時間を下準備や論文作成に奪われています。そこで同社はポストドクターや大学院生など、業務をサポートしてくれる専門人材のマッチングサービスを提供し、研究開発法人などをメインターゲットにサービスを拡大し、日本の研究開発の底上げをめざします。

SIOアクセラレーション
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コメンテーターの井上氏からは「研究者どうしは、つながれそうで意外とつながれないので、ニーズがある」と評価しました。伊藤氏も「日本の研究を発展させる、という世界感がすばらしい」と賛辞を贈り、さらに中村氏も「スタートアップエコノミーにも貢献するものになる」と高く評価しました。

株式会社SKILL SPARK 茅原郷毅氏
業界初!宅建士スポット型HRサービス

続いては、不動産取引に欠かせない専門職である宅建士の課題に挑む株式会社SKILL SPARKの茅原氏。宅建士の人材不足が叫ばれる一方、資格保有者の7割は業界の外で働いていると言います。そこで同社は宅建資格を持つ人が在宅で働けるギグエコノミーモデルを構築し、重要事項説明の録画や発言内容の自動処理など、テクノロジーを駆使してサービス品質への不安を解消します。

SIOアクセラレーション
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コメンテーターの中村氏からは「業界の仕組み自体を変えないモデルなので、うまくスタートが切れると思う」と期待の声が寄せられ、伊藤氏も「評価システムを独自に構築するなど、競合と差別化できている」と太鼓判を押しました。

SOCIALPORT株式会社 齋藤英一氏
訪日客促進!ホテル特化の在留外国人インフルエンサープラットフォーム

次に登壇したのは、訪日外国人のホテル検索に新たな選択肢を提供するSOCIALPORT株式会社の齋藤氏。外国人が日本でホテルを探す際、もっとも頼りにするのは在日の自国民だと言います。そこで同社は在日外国人がインフルエンサーとして日本のホテル情報を発信できるプラットフォームを構築。将来的には宿泊業界だけでなく、他のインバウンド関連業種への水平展開も視野に入れています。

SIOアクセラレーション
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コメンテーターの中村氏からは「既に横展開も見すえていて、さすがシリアルアントレプレナー」と賛辞が贈られ、伊藤氏は「外国人インフルエンサーの登録が順調に伸びており、業界を知り尽くしている強みがあると感じた」と高く評価しました。

takeforest株式会社 竹森洸征氏
ぷち勉~たった10分1問で習慣化、自己肯定感UPを目指す~

続いては勉強に悩む子どもたちに救いの手を差し伸べるtakeforest株式会社の竹森氏。勉強についていけず自己肯定感が下がったり不登校になったりする子どもが増えていると言います。自身も同様の経験を持つ竹森氏は、「10分間で1問だけ」という無理のない形で勉強を習慣化できるサービスを構築し、小さな達成感を積み重ねることで子どもたちの自己肯定感を育み、教育課題の解決につなげます。

SIOアクセラレーション
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コメンテーターの伊藤氏は「子どもが自ら勉強に向かうのは難しいので、ニーズに合ったサービスだと思う」と評価。井上氏からは「サービスを提供する相手は子どもだが、お金を払うのは親なので、顧客獲得戦略を明確に」とアドバイスが贈られました。

株式会社CTEN 西山夏実氏
命がけで未来を育てる女性の健康をサポートmaemo atomo

続いて登壇したのは、女性の妊娠・出産を健康面でサポートする株式会社CTENの西山氏。さまざまな病気のリスクが伴う妊娠・出産は、まさに命がけのライフイベントです。助産師として働き、母子ともに命を落とす場面を経験したこともある西山氏は、産前産後の専門的なケアの不足を解消すべくCTENを設立し、妊娠中の運動指導と産後の適切な健康管理を包括的に行う国内初のサービスを提供します。

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コメンテーターの井上氏は「妊婦さんは情報弱者になりがちなので、必ずニーズがある。ユーザーが『使い続けたい』と思うポイントにフォーカスして展開を」とアドバイスし、伊藤氏は「少子化を支えるうえでもがんばってほしいサービス」とエールを贈りました。

THINNEY株式会社 織戸弘暉氏
お金の教育を通じて、子供達が夢を叶えられるミライへ!

最後の登壇者は、子ども向けに金融リテラシー教育を提供するTHINNEY株式会社の織戸氏。自身の詐欺被害や、日本の経済力低下への危機感から起業を決意した織戸氏は、金融リテラシー向上を通じて健全で競争力のある社会づくりをめざします。教育と遊びを組み合わせたエデュテイメントの手法で、子どもの主体的な学びを促すのも特長のひとつです。

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コメンテーターの中村氏は「このサービスが、日本の教育の仕組みを変えるトリガーになってほしい」と賛辞を贈り、伊藤氏も「日本がこれから経済的にどう戦っていくのか、本当に大きな課題なので、ぜひ広げてほしいサービス」と期待を寄せました。

【コメンテーターの総評】

最後に3名のコメンテーターから総評をいただきました。

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伊藤氏
関西はテック系が目立っている印象でしたが、今回のピッチではテック系以外のスタートアップも含めて全体的にレベルが高いと感じました。5か月間のプログラムを通じて支援者が流してきた多くの「汗」が、ピッチに集約されていたと思います。

井上氏
最初から最後までバラエティに富んでおり、それぞれの視点でニーズをとらえてサービスを構築しています。今後がとても楽しみなビジネスが多かったと思います。予想以上にレベルが高く、このアクセラレーションプログラムが優れているのを感じました。

中村氏
各社ともクオリティが非常に高く、驚きました。普段はディープテック系のピッチを見る機会が多いですが、それらと比較しても顧客ニーズや課題をしっかりと捉えた秀逸なサービスだと感じました。私は大阪出身なので、今後も大阪のスタートアップ・エコシステムに貢献したいと思います。

【ネットワーキング】

プログラム終了後は、12名の登壇者がそれぞれのブースに分かれ、ネットワーキングが行われました。このデモデイを機に事業会社や金融機関などとのネットワークが広がり、さらなるスケールアップにつながることが期待されます。

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イベント概要

「SIOアクセラレーション」成果発表会
開催日時 2024年1月28日(日)

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