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起業家ライブラリ

石垣 翔太 氏

「1社に1人 AIエージェント」の時代をめざして

AI文書管理アプリ「ドキュパカ!」で中小企業のビジネスをサポート

石垣 翔太 氏

株式会社アルパカ
代表取締役
ウェブサイトhttps://al-pa-ca.com/
事業内容ノーコード/AIを活用したソフトウェアの企画、研究、開発、設計、販売、保守並びにそれらに関するコンサルティング業務

ビジネスをはじめとして社会の様々な場面でDXが進められている。その重要性には多くの企業が賛同する一方で、人員や予算などの都合でなかなか実現に向けた歩みが進まないというのが実情だ。そこに風穴を開けるのが、株式会社アルパカ(以下、アルパカ)のAI文書管理アプリ『ドキュパカ!』。同社の代表取締役である石垣翔太氏に話を聞いた。

あらゆる書類をデータ化し、瞬時に仕分けして管理

あらゆる書類をデータ化し、瞬時に仕分けして管理 アルパカは、業務用のアプリを開発・販売する会社です。2021年3月に創業して以来、200以上のアプリを作ってきました。これだけ多くのアプリを開発してきたのは、私たちがお客様の「かゆいところに手が届く」サービスを追求した結果でもあります。

たとえば、「弁当発注アプリ」「会議室予約アプリ」など、日常業務の中で感じる「あったら便利だろうな」というアプリを開発しました。工場内の設備や製品の気になる箇所を写真撮影し、サーバにアップして社内で共有するための「社内限定SNS」もその一例です。これらのアプリは業務の基幹システムと連携させることで、使い勝手を高めました。

DXの推進による業務の効率化は、企業規模を問わず大きな関心ごとです。ところが中小企業の場合は専任の担当者を配置することが難しく、思ったようにDXが進まないこともあります。そこで私たちがサポート役となり、各種アプリの導入を通じて業務の効率化を図っています。請求書や図面など紙で管理していた情報をデータ管理に置き換えたり、属人化しがちな複雑なエクセルを誰もが扱えるアプリに置き換えたりする支援を行っています。

株式会社アルパカ

2024年11月にベータ版の提供を開始した『ドキュパカ!』は、当社の経験と技術が結集したアプリと言えます。ドキュパカ!は各種書類をデータ化して管理できるアプリです。

ポイントは、特定の書類を対象とした専用アプリではなく、請求書も図面も名刺もすべて対象とする「全帳票型」であることです。ユーザーは、管理したい書類をスマホで撮影するか、スキャナーで読み取るだけでOK。搭載したAIが自動的に書類の種別を判断し、請求書フォルダ、図面フォルダ、名刺フォルダなどに仕分けてくれます。

株式会社アルパカ

読み取った情報はデータ化されているので、『電子帳簿保存法』に必要な、日付、金額、取引先検索や、フリーワードでのあいまい検索にも対応しています。基幹システムと連携するという、使い勝手の良さは当社のこれまでのアプリと同様です。

これまで約10社にドキュパカ!を導入いただきました。いずれの企業でも、担当の方は経理や総務、生産管理など多岐にわたる書類を扱う仕事をしています。そのため、「名刺から請求書、図面まで、さまざまな書類をAIが読み取ってデータ化してくれる」という機能が便利だと好評をいただいています。

「紙まみれ」の業務で大失敗したことが、後に起業の道へ

私は以前、従業員数70人ほどの部品加工メーカーに勤務していました。担当は生産管理です。発注書、納品書、図面、請求書など、仕事は「紙まみれ」。処理はすべて手作業で行っていました。

そんなある日、処理上のミスで会社に損害を与えてしまうという大失敗をしました。このとき、「このままではだめだ。効率化できる方法を考えよう」と一念発起。パソコンのブラインドタッチすらできなかった私が、独学でエクセルのマクロ、Access、RPAとステップアップしながら効率化の仕組みを作った結果、社内で大好評に。

このとき「同じような悩みを抱えている中小企業は多いはず。独立して業務自動化開発の会社を作ろう」と考えました。

株式会社アルパカ

実は、独立して会社を興すことにも、以前から興味を持っていました。会社の中にいても、何か1つの仕事を突き詰めていくより、全体を理解することが好きなタイプでした。そして経営といえば、正に会社全体を考える仕事です。

好奇心が旺盛で、<知らないことを知ること>にもおもしろさを感じます。ドキュパカ!を大きく育てるためには、開発や営業、資金調達などを同時に進める必要があります。未体験の領域で非常に難しいのですが、そこにおもしろさを感じているのも事実です。

起業家として心掛けていることを挙げるとすれば、常に相談相手を確保しておくことです。お金やサービス内容、組織のこと、「経営者としてこの方向であっているのか?」など心配事は尽きません。こういった悩みを相談し、いつでもアドバイスをもらえるような各分野の専門家や、私自身より少し先のステージを行く起業家の先輩とのつながりを持つことをとても大切にしています。

『ドキュパカ!』が優秀な“社員”になる社会をつくる

書類を適切に仕分けたり素早く見つけ出したりしてくれるドキュパカ!は、“AIエージェント”だと考えています。AIエージェントとは、言ってみれば極めて優秀な社員です。

「ドキュパカ!、去年の発注内容を教えて」
「ドキュパカ!、よく似た案件の図面を集めて」
など、お願い事をすれば欲しい情報を素早く集めて教えてくれる存在になることが、私たちが描く未来像です。

1社に1台ドキュパカ!が導入されれば、きっとそういった社会が実現できるはずです。特に、DXに関して悩みが尽きない中小企業でドキュパカ!を導入してもらうことで、ビジネスの成長をお手伝いしていきたいです。

OIHをこんなふうに活用しました!

ちょうど事業の成長をめざすなかで、経営者として壁にぶつかっていた時に「SIOアクセラレーションプログラム」へ参加。先輩経営者がメンターとなってさまざまなアドバイスをいただきました。ビジネスについて学ぶだけでなく、週1回のペースで、しかも無料でメンタリングを受けられるのは、本当にすごいことだと思います。

ミライノピッチ2024」にエントリーした理由は、自社もICT・IoT分野なのでOIHのコンテストにチャレンジしてみようと考えたからですが、プレゼンに対して手厚いフィードバックをもらえて、新しいアイデアが生まれたことも大きな財産です。

OIHを通じて、数多くの起業家と出会うことができました。私と同じく悩み、さらに先を進む彼らのアドバイスを得て、「自分の行動は間違えていないか」「自分は今何をすべきか」を常に考えることができています。

株式会社アルパカ

取材日:2024年12月27日
(取材・文 松本守永)

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